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ロフテッド軌道のムスダンでも迎撃可能

2013年04月21日 

中距離弾道ミサイル「ムスダン」をロフテッド軌道(lofted trajectory; 高く打ち上げた軌道)で日本を狙った場合でも、SM-3ブロック1Aで迎撃可能です。

ここでいう通常軌道は「最小エネルギー軌道」の事で、同じエネルギー量で最も遠くへ飛べる効率の良い経路角の軌道です。逆に言えば同じ射程で最小エネルギー軌道ではない軌道を取る場合、高い弾道でも低い弾道でも、より大きなエネルギー(より大きなミサイル)が必要になります。

同じミサイル、ムスダン同士であるなら通常軌道だろうとロフテッド軌道だろうと速度差は有りません。実験で中距離弾道ミサイル標的を撃墜した実績のあるSM-3ブロック1Aならばロフテッド軌道で飛んで来るムスダンであろうと迎撃する事が可能である事が分かります。

防衛省がSM-3ブロック2Aを開発する目的の一つとしてロフテッド軌道を挙げた理由は幾つか考えられます。

弾道ミサイルは弾道頂点が最も速度が遅くなるので、この近辺で狙い撃てると迎撃成功率が高まります。また迎撃ミサイルの射高を上げる事で、従来では手を出せなかった種類の弾道ミサイルの飛行領域をも狙えるようになるので、理由としてはこの射程範囲の拡大が大きいでしょう。そしてそもそも防衛省はムスダンとは名指ししていないという点もあります。

ロフテッド軌道とは逆の低い弾道のディプレスト軌道でも、弾道ミサイルの速度はより高速にする必要があります。最小エネルギー軌道から外れる軌道である為、エネルギー量を大きくしないと同じ位置に届かないからです。飛行時間も短くなり、高度も低いことで、発見され難くなります。迎撃側のSM-3の大気圏外迎撃体は最低射高の70km未満では使えず、ブロック1Aもブロック2Aも最低射高は同じである為、ディプレスト軌道に対するより有効な迎撃方法は今のところ提案されていません。

迎撃側の対策としては、THAADのように空気抵抗を考慮された砲弾形状の大気圏外迎撃体にして、空気が有る程度存在する高度でも機動可能とし、最低射高を下げる事などが考えられますが、新たに提案する動きが特に見られないので、ディプレスト軌道は現状のSM-3でも十分に対応可能と見られているのかもしれません。